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高橋正成の連載コラム「ときの声」
弊社高橋が「日本住宅新聞」に定期寄稿しているコラム「ときの声」を再構成

第5回(2008.12.9)

「構造計算書偽装問題」は著しく建築士の信頼を失墜させた。
この問題を発端に、建築士法の改正を含む新しい建築士制度が今年の11月28日よりスタートした。

主な見直しは、建築士の資質・能力の向上、高度な専門能力を有する建築士による構造設計及び設備設計の適正化、設計・工事監理業務の適正化と消費者への情報開示、団体による自律的な監督体制の確立、そして業務報酬基準等の見直しである。
その中の一つである「設計・工事監理業務の適正化における管理建築士の要件強化に伴う資格取得講習会」に参加した。

冒頭から、「建築基準法の建築確認制度は、法令の順守を大前提」とし、「違法な設計を行った建築士や設計事務所の責任は確認済証が交付されたとしても回避できない」と明言している。
設計事務所登録をしながら設計・施工を自社で行っている多くの工務店が、現在の業務を維持するにも、社内環境の再確認が必要ではないか。

そして、消費者保護の立場からしても当然だろうが、建築士のより高い品位とプライドを持った業務に期待したい。

第4回(2008.10.4)

ニュースの見出しで「偽装」の文字を見ない日がないくらいメジャーになってしまっている。
基は建築業界から始まったともいえる「偽装」だ。

そのような中、トレサビリティーを確実にする手段として林産地にある生産者と直接取引をする「産直システム」が広がってきている。
消費地の工務店やメーカー側だけでなく、川上といわれる林産地側も、積極的に地元材利用の販売拡大に動き出している。

さらに、地球温暖化の影響やエコロジーを考えて消費地側からの森林涵養や保全または植林活動への活発な参画がある。
私の参加している協同組合でも、3年ほど前から、和歌山県や宮城県において植林活動を行っている。

ただ、植林というのは、その後の60年間、下草刈りや間伐など山の面倒を見続ける必要を伴う。
そこで、林産地の小学生と組み、60年間我々の意思を継いでもらい、そばにある森の木がどうなっていくのかを見守りながら、山守としての役割を担ってもらっている。

そんな子供たちの中から、将来林業に従事する子供がでてくれれば、なんと素晴らしいことだろうか。

第3回(2008.7.17)

地球環境、それも地球温暖化対策の全世界的取り組みでのリーダーシップを問われた「洞爺湖サミット」が終了し、米国の支持もなんとか取り付け、今後はいかに多くの国々(特に中国とインド)の協力を得る事ができるかが試される、議長国日本にとっての正念場となる。

このような時代に、工務店は地球温暖化対策で何ができるだろうか。
省エネ住宅の提案、再生可能な資源である木材を多く使う住宅の提案、長寿命な家づくりの推進、などさまざまな提案がなされている。

そのような昨今、弊社では、近所の小学生と共に杉と桧の苗を育て始めて2年が経つ。
育てた苗は、林産地の小学校に送られ、山の小学生が植林を行う。
称して「苗のリレー」である。

都会の小学生は、苗を育てることを通して、生命の尊さ、木がCO2を吸収し酸素をつくりだすことを知り、林産地の小学生は、 普段なんとなく見ている近くの山に植林をすることで、山の労働を知り、その山の木が涵養をはじめ、最後には海をきれいにすることを知るのである。

その様な活動をしていると「木のことを調べたい」という小学生の訪問を受けた。
これこそ地域に開かれた工務店の姿である。

第2回(2008.4.30)

今年もスギ花粉は猛威を奮った。
街ではマスクやゴーグルのようなメガネをかけた完全武装の人々が多く見うけられる。
果たしてこれは杉だけが悪いのだろうか。

確かに戦後の拡大造林によって伐採時期を迎えた樹齢50年から60年生の杉が、日本中に急増している。
逆に樹齢10年から30年生の若い杉の割合はどんどん減っている。
杉の高齢化は、「樹木が、地球温暖化の原因でもあるCO2を固定する能力」が衰えていくことを意味する。

伐採の時期である杉の木が切られず、さらに計画的な間伐や除伐もされず、日も当たらず、表土も流れ出た「放置林」が増え続けている。
放置された杉は、自分の身の危険を感じ、より多くの子孫を残そうと花粉をさらに多く実らせてしまう。
それが花粉症患者増加原因の一部となっているわけだ。

そこで、工務店にできることと言えば、「伐期である国産の杉を、いかに多く使用するか」ということになる。
工務店は、実際に家づくりを考えているお施主様を多く知っている。
そのお施主様に少しでも、「国産の木材を使用することの意味」を伝え、使ってもらう先導的役目を果たす時が来ているのだ。

第1回(2008.2.9)

いよいよ今月の16日から、地球温暖化対策の京都議定書の目標期間がスタートする。
このまま地球温暖化が進む事は人類の存続においても大きな問題となっていくので是が非でも目標数値を達成しなければならない。

ところが、近頃産業界において、特にエネルギーを大量に消費する企業では日本国内での排出削減のコスト負担を回避するために、工場を削減義務の無い海外にシフトしている。
そのような事をしてもCO2の削減にはなにもならない。

ただ国内産業の空洞化を加速するだけである。
何のための議定書なのか、疑問をもつ。

このような中、木造の住宅を建てるということは、地球温暖化対策に対しても有効な事である。
CO2を固定する木材を多く使い、維持管理をしっかり行い、永く住む事を考える。

樹の家づくりを行っている建築会社は、その社会的にも重要な責務を果たしているという自覚をしっかり持つこと。
そしてより多くの木を上手に使うこと。
そこに使われる木は出来るだけ日本の木を使う。

国内の林業を活発化させ、地球温暖化防止を進める事が急務である。

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