創業120年老舗工務店 高棟建設工業物語

創業120周年 年頭のご挨拶

株式会社高棟建設工業は、本年、創業120周年の記念の年を迎えることができました。一般的に会社の寿命は30年ともいわれる中、その4倍の永きにわたり、地域社会の家づくりという業に携われたのはひとえに弊社をご支援いただいた皆様方からの賜物と心より感謝いたしております。明治30年、髙橋兵吉翁が伊豆の松崎よりこの横浜の地に於きまして「家守り」を始めて以来、棟吉、積平そしてわたくし正成と四代に渡り仕事をさせて頂いております。これを機に、いま一度創業の精神に立ち返り「地元のお出入りの大工」としてより一層の発展と皆様方のご厚情にお応えすべく、社員一同決意を新たに努めていく所存でございます。何卒、倍旧のご支援、ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
平成29年1月吉日
株式会社 高棟建設工業 代表取締役 髙橋正成

 [チルチンびと神奈川2014より ]

横浜市戸塚区にある高棟建設工業。創業120年を迎えた老舗の大工型工務店。現社長の高橋正成はその四代目だ。四代目とともに創業した頃からの付き合いという、泉区の石塚さんの家を訪ねた。

明治30年創業の高棟建設工業。「ヒョウさん」の愛称で親しまれた、初代・高橋兵吉さんは頑固一徹の職人で、大正12年の関東大地震では近隣の傾いた家を直し歩いた。そんな仕事への誠実な姿勢は二代目棟吉さん、三代目積平さん、そして四代目正成さんへとしっかり受け継がれている。

地域密着型を貫く同社。親子三代にわたって家づくりを依頼されることも少なくない。そんなお宅の一つが、泉区の石塚さんで、「家の事なら高棟さん。それが当たり前で、私の祖父の頃からお世話になっています」(ご主人)。初代には物置や家の修繕、二代目には棟梁として、石塚さんが持つ裏山の木を選ぶところから始めていましたね」(高橋社長)。

石塚邸は22年前に土地区画整備のため移転することに。やむ無く壊されるには惜しい、金物を使わず自前の木で建てた愛着の家だった。建て替えを任された三代目に、二代目は座敷の柱と差し鴨居を新居に移すようにと指示。昔の家の記憶を宿す住まいに対して「こうした物語があるからお座敷は自慢の種よね」と石塚さんの奥さん。


大小さまざまな工務店がある中で、石塚さん同社を選び続けるのはなぜだろう。「高い技術力があることはもちろんですが、いちばんは信頼関係。家は人との関係でつくるもの。ずっと我が家を守ってきてくれた高棟さんにこれからもお願いしたい」(ご主人)。

毎年2回、800人以上いる建主の家を訪問する同社。この地道な取り組みは二代目から続き、末永いお付き合いの中で”お抱え大工”として親しまれている。「すぐそこにいる工務店として仕事をすることが、地域工務店の良さではないでしょうか。地域の人とともに家を守る。これは我々の社会的責任だと思っています」(高橋社長)。